BEHS seriesアンテナの技術解説と開発ストーリー
開発ストーリー
技術解説
アンテナには使用周波数により最適な長さがあります。基本は使用周波数の波長の半分[1/2λ]の長さです。
その長さの時、アンテナが最も共振します。[効率が良い状態]
但し、1/2λのアンテナはどうしても大きくなってしまい、運用上不便なので最近は1/4λのアンテナがよく使われています。
1/4λのアンテナは、1/2λの半分の大きさですみ、運用上便利ですが、接地が必要となります。
接地とは、1/4λアンテナの給電線反対側を大地に接続(接地)する事で、大地(GND)が鏡であるかのように反射して1/2λのアンテナであるかのように動作する事です。
但し、接地と言っても必ずしも大地に接続している必要はありません。例えば、モービルアンテナは車のボディをGNDとして使用し、グランドプレーンアンテナはラジアルを接続する事で1/2λにします。
ハンディ無線機では大地の代わりに無線機筐体をGNDとして使います。
周波数が高い場合は、波長が短く機器本体の面積は少なくても良好な接地が得る事ができ、1/4λのホイップアンテナを取り付けても良好に動作します。
ところが、最近のハンディ無線機は小型化が進み、周波数が低い場合では良好な接地が得られなくなってきました。
機器を手に持った状態では、人体も機器の一部となるので面積は増えるのですが、それでも満足な接地効果が得られません。
満足な接地効果が得られない
= アンテナが最適な長さにならない[効率が良くない状態]
= 通信距離が短い
となります。
BEHS series 特徴
上記ハンディ無線機における接地の問題(低い周波数)を解決する為に、ハンディホイップアンテナ(1/4λ)にラジアルを取り付けられるようにしたのが、BEHS seriesです。
ハンディホイップアンテナ(1/4λ) + ラジアル(1/4λ)でハンディダイポールアンテナ(1/2λ)となり、低い周波数でも良好な接地が得られ、効率が良いアンテナとなります。
当初、アンテナ下部に直接ラジアルを取り付ける構造を検討したのですが、アンテナの取り外しが非常にやりにくくなってしまいましたので、ラジアルリング(SMAP-SMAJの中継コネクタのようなアダプタ)方式を採用しました。
ラジアルリングにラジアルを接続できるようにし、更に回転機構を付ける事で、
・ラジアルの向きを変え、邪魔にならない方向にセット可能
・ラジアルの取り付け/取り外し自由
・アンテナの取り付け/取り外しは通常のSMAコネクタと同じ
・通常のホイップアンテナとしても使用可能
・既存のSMAハンディアンテナも使用可能
が実現しました。
アンテナ本体にも工夫があります。
エレメントはハンディ機の携帯性を出来るだけ損なわないように、直立しつつもしなやかなソフトエレメントを採用しました。
又、ラジアルを付けた状態とアンテナ単体、どちらでも性能が出せるような内部構造になっています。
内部のインピーダンス変換回路に使うコイルもモービルホイップアンテナで使われる程の太い線径の物でパワーロスを抑えています。(耐入力は、ハンディ用の為かなり控えめに表示しています)
エレメントの長さですが、430MHzで1/2λになる長さになっています。430MHzでは1/2λの電圧給電のアンテナとして動作するので接地条件の影響を受けません。
144MHz帯では1/4λより短いため、全体で電気的に1/4λになるように基部に延長コイルとして動作する回路が入っています。
ラジアルも出来るだけ運用(垂れ下げて使用)の邪魔にならず、丸めて持ち歩く事も可能なフレキシブルラジアルを採用する事で、携帯性を損なわないようになっております。